米朝首脳会談/拉致問題対応をどう見るか  

柳澤協二氏<緊急寄稿>米朝首脳合意は「世界史的な」分岐点 

 6月12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談は世界中でテレビ中継されたが、事情通の間では、「中身がない」とか、「北朝鮮に譲歩し過ぎ」という批判がある。  両首脳の合意は、アメリカが北朝鮮の体制を保証し、北朝鮮が完全な非核化を約束するものの、アメリカが求めてきたCVID(完全、検証可能、不可逆的な核放棄)の原則に照らせば、検証や不可逆性について全く言及がない。そこで、また北朝鮮に騙されるのではないか、という疑念があるためだ。  

 しかし、枝葉を切り落として物事の幹を見れば、敵国同士である米朝のトップが、敵対関係の解消を目指し、その象徴として核放棄と体制保証という相互が最も欲するものを目標として共有した意義はやはり大きい。  

 第1に、核放棄と体制保証の実現は交渉のゴールであって入り口ではないという当たり前のことを確認した。目標はあくまで核放棄であって、CVIDはそのための手順であるはずだ。手順が目標を押しのけてはいけない。今回の首脳会談がプレーアップされた以上、どちらもこのプロセスから降りられない。むしろ、核放棄に向けた今後の交渉そのものが「検証可能で不可逆的に」ならざるを得なくなったことを意味している。   以下、全文は、下記ツイッターの中のリンク先をクリックしてご覧下さい。  

安倍首相がかって批判し、ネトウヨに評判の悪い16年前の平壌宣言を今見直す時期かも知れない 

 「北が軍の代表を外したのは、核問題が軍事問題ではなく「外交」だと強調したいからだ。前・現外相を同席させて、さらに念を押した。ただ、現外相が公的な場で繰り返してきた「目標は米国との力の均衡」という主張を変える気はない。  

 一方の米側は、「そう簡単に非核化で妥協しない」という意思をあえて示すために、不評のボルトン氏を加えた。おそらく事前に北側にその旨を伝えて抵抗感を薄めている。その証拠に、最近は北朝鮮メディアからボルトン氏を非難する論評は陰を潜めていた。ポンペオ長官が当面、北朝鮮問題の前面に立つことも示した。」

圧力一辺倒で北朝鮮との交渉カードが手に無い安倍政権 
蓮池 そもそも北朝鮮拉致問題の再発防止を約束した2002年の平壌宣言に基づいて「解決済み」としているわけですね。一方、安倍首相はここにきて「平壌宣言に立ち戻る」というキーワードをしばしば持ち出しています。

 それにのっとれば、日本政府は北朝鮮のいう「5人生存、8人死亡」を認定せざるをえない。安倍首相が「全員の即時帰国」を要求するのなら、これは矛盾です。  

 だから重要なのは解決済みと言わせない情報をいかにもっているかなんです。インテリジェンスですよね。拉致被害者の誰がどこにいるのかという情報を独自に掴み、水面下で北朝鮮に突きつけて「これで解決済みと言えますか?」と迫る。それが外交というものでしょう。

 こうした情報を突きつける以外に、方法はない。それができないのなら、元の木阿弥です。  ところが、日本はその突きつけるべき情報を全然もってない。

 特に安倍政権は圧力一辺倒で、そういう努力をまったくしてこなかった。

──ほんとうに日本政府は情報をもっていないんですか?

蓮池 弟は日本政府がインテリジェンスをもっているはずだと言いますが、わたしは経験上、そうは思えない。日本政府が誰から情報収集をしているかといえば脱北者、韓国国家情報院関係者、中朝国境の朝鮮族、その程度ですよ。そのような人たちから、情報が取れるわけがないじゃないですか。ガセネタつかまされるだけです。

 海外への多額の経済支援の一部を使えば、十分に可能だと思うのですが。それと、情報を取るためには、官僚が動くしかないのですが、その官僚が安倍政権下では機能していないですからね。

 財務省経産省だけでなく、外務省も「忖度官僚」ばかりになってしまった。しかも、拉致問題については、「下手に動いたら、田中均さんの二の舞になる」という恐怖がある。

──たしかに、独自ルートを使って小泉訪朝を実現させた田中均・外務省アジア大洋州局長(当時)は、そのあと、当時の官房副長官で反北の急先鋒だった安倍氏の扇動によって「北朝鮮の手先」「国賊」という大バッシングを受けました。

蓮池 いまでは日本はもっと安倍支配が進んだから、それ以上のバッシングになるのが目に見えている。とにかく、安倍首相が圧力、圧力と言っているときに、忖度官僚が水面下で対話して情報を取るなんてやりっこない。そんな状態で時が経って、今頃になって、急に情報もってこいといわれて、取れるはずもないですしね。

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